上田紬はこうして出来る!工房研修の様子
ただ今
『信州上田紀行 小山憲市 織個展』
開催中です!
小山憲市さんの上田紬は、糸の準備から織りまでほとんどすべての工程をご家族と共に一貫して制作されています。
織物は織ることだけで出来上がるわけではありません。
反物として完成するまでには、様々な工程を経なければなりません。
その内容を、2年前に僕が研修に伺った様子を交えながらザックリとご紹介します。
精練
絹糸は、蚕の繭から取り出したままの状態では硬くてシャリシャリしています。
糸の周囲をセリシンという膠質の物質が覆っているためです。
このセリシンを洗い落とし、光沢があってしなやかな絹糸とするための工程が「精錬」です。

↑小山さんの工房にある精練器
精練は糸の質感を決める大事な工程です。
絹糸を覆うセリシンは、ただ落とせばいいというものではありません。落としすぎると逆に糸の質感が悪くなってしまいます。
どのような着物をつくりたいかによって、精練は変ります。ふんわりと柔らかい着物、シャリッと裾捌きの良い着物、光沢のある着物、ざっくりした味のある着物・・・求める質感によって必要な仕事は違うのです。
糸質や気象条件などによっても精練は変化します。その時に一番最適な精練をするには、経験と勘が必要です。

↑上の画像の糸を精練した状態。まろやかな艶のある糸になりました。
精練された糸は機にかけやすいよう糊付けされます。
染色
小山さんの着物は糸の段階で染める「先染」です。
染料はつくりたい着物に必要な色によって変ります。
化学染料の鮮やかで自由な色彩や、草木染による深い色合いを、必要に応じて使い分けながら、小山さんは理想の色を表現されます。
小山さんの着物には一反の中に30色や40色などたくさんの色が組み合わされています。
2年前の研修では胡桃を使った草木染を体験しました。
長野県は胡桃が特産品でもあり、古くから染色にも使われてきました。

染色には胡桃の果肉の部分を使います。
煮出した染液を加熱しながら絹糸を染めていきます。

↑染色中
ある程度染めたら媒染を行います。鉄や銅、アルミなどの触媒を溶かした溶液に染色した絹糸を浸します。
媒染によって色は変化し、また色落ちしにくくなります。

媒染した糸は乾燥させます。これ一回だけでは濃い色には染まりません。染色と媒染を2度3度と繰り返していくうちに、色は深さを増していきます。

繰り返し
染色した糸は、機に掛けられるように糸巻きに巻きなおします。これが繰り返しです。
この工程も後々の作業のし易さを左右する大事な仕事です。
繰り返しの途中で糸が絡まったり、切れたりすることもよくありますが、根気強く糸を巻きなおしていきます。

整経
織物を織る場合は先ず経糸を機に掛けなければなりません。この経糸の準備が整経です。
経糸は機に掛けると修正ができないので、着物の性格を決める大事な作業です。
小山さんの着物は経糸に何十種類もの糸が組み合わされています。色や質感の違う糸を並べ、そのバランスを見極めながら、反物の完成図を想像して糸を選んでいきます。
慎重に悩みながら行う作業なので、小山さんは集中できる夜中に整経を行うことが多いそうです。

機織り
ここまでの工程を無事に進むと、いよいよ機で織っていきます。
機織も均質に織り続けることは簡単ではありません。
ほんの少しの手加減で糸の張力が変り、織ムラになってしまいます。
これもまた、気象条件などで変化する糸の様子を見極めながらの作業です。

ここまでが大まかな工程の流れです。
このほかにも絣に染めるなど様々な技法、工程があります。
小山さんがこれだけ膨大な工程を一貫して行うのは「言い訳しないものづくり」を目指しているからです。
織りあがる着物に責任を持つものづくり。だから小山さんの着物は、他のどの着物にもない独自の感性に溢れているのです。
11月3日(土)~11日(日)
『信州上田紀行 小山憲市 織個展』
場所:丸太や
お問い合わせは丸太やへ→丸太やホームページ
Tel: 078-331-1031
FAX: 078-331-1852
E-mail: marutaya@tulip.sannet.ne.jp
facebook始めました!よかったら「イイネ!」って押してネ!→丸太やfacebook
『信州上田紀行 小山憲市 織個展』
開催中です!
小山憲市さんの上田紬は、糸の準備から織りまでほとんどすべての工程をご家族と共に一貫して制作されています。
織物は織ることだけで出来上がるわけではありません。
反物として完成するまでには、様々な工程を経なければなりません。
その内容を、2年前に僕が研修に伺った様子を交えながらザックリとご紹介します。
精練
絹糸は、蚕の繭から取り出したままの状態では硬くてシャリシャリしています。
糸の周囲をセリシンという膠質の物質が覆っているためです。
このセリシンを洗い落とし、光沢があってしなやかな絹糸とするための工程が「精錬」です。

↑小山さんの工房にある精練器
精練は糸の質感を決める大事な工程です。
絹糸を覆うセリシンは、ただ落とせばいいというものではありません。落としすぎると逆に糸の質感が悪くなってしまいます。
どのような着物をつくりたいかによって、精練は変ります。ふんわりと柔らかい着物、シャリッと裾捌きの良い着物、光沢のある着物、ざっくりした味のある着物・・・求める質感によって必要な仕事は違うのです。
糸質や気象条件などによっても精練は変化します。その時に一番最適な精練をするには、経験と勘が必要です。

↑上の画像の糸を精練した状態。まろやかな艶のある糸になりました。
精練された糸は機にかけやすいよう糊付けされます。
染色
小山さんの着物は糸の段階で染める「先染」です。
染料はつくりたい着物に必要な色によって変ります。
化学染料の鮮やかで自由な色彩や、草木染による深い色合いを、必要に応じて使い分けながら、小山さんは理想の色を表現されます。
小山さんの着物には一反の中に30色や40色などたくさんの色が組み合わされています。
2年前の研修では胡桃を使った草木染を体験しました。
長野県は胡桃が特産品でもあり、古くから染色にも使われてきました。

染色には胡桃の果肉の部分を使います。
煮出した染液を加熱しながら絹糸を染めていきます。

↑染色中
ある程度染めたら媒染を行います。鉄や銅、アルミなどの触媒を溶かした溶液に染色した絹糸を浸します。
媒染によって色は変化し、また色落ちしにくくなります。

媒染した糸は乾燥させます。これ一回だけでは濃い色には染まりません。染色と媒染を2度3度と繰り返していくうちに、色は深さを増していきます。

繰り返し
染色した糸は、機に掛けられるように糸巻きに巻きなおします。これが繰り返しです。
この工程も後々の作業のし易さを左右する大事な仕事です。
繰り返しの途中で糸が絡まったり、切れたりすることもよくありますが、根気強く糸を巻きなおしていきます。

整経
織物を織る場合は先ず経糸を機に掛けなければなりません。この経糸の準備が整経です。
経糸は機に掛けると修正ができないので、着物の性格を決める大事な作業です。
小山さんの着物は経糸に何十種類もの糸が組み合わされています。色や質感の違う糸を並べ、そのバランスを見極めながら、反物の完成図を想像して糸を選んでいきます。
慎重に悩みながら行う作業なので、小山さんは集中できる夜中に整経を行うことが多いそうです。

機織り
ここまでの工程を無事に進むと、いよいよ機で織っていきます。
機織も均質に織り続けることは簡単ではありません。
ほんの少しの手加減で糸の張力が変り、織ムラになってしまいます。
これもまた、気象条件などで変化する糸の様子を見極めながらの作業です。

ここまでが大まかな工程の流れです。
このほかにも絣に染めるなど様々な技法、工程があります。
小山さんがこれだけ膨大な工程を一貫して行うのは「言い訳しないものづくり」を目指しているからです。
織りあがる着物に責任を持つものづくり。だから小山さんの着物は、他のどの着物にもない独自の感性に溢れているのです。
11月3日(土)~11日(日)
『信州上田紀行 小山憲市 織個展』
場所:丸太や
お問い合わせは丸太やへ→丸太やホームページ
Tel: 078-331-1031
FAX: 078-331-1852
E-mail: marutaya@tulip.sannet.ne.jp
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